ヘロド系(バイアリーターク系)種牡馬の種付け数

久しぶりに見にきたら、更新してないのにプレビュー上昇傾向だった(笑)

2019年のヘロド系(バイアリータークByerley Turk系)種牡馬の種付け数についてまとめてみます。

なお、日本と英愛仏、北米以外はデータを持って無いのでここには載せてません。

(カッコ内は過去3年分です) 

1位 Diamond Boy(130→235→221)愛

2位 Pearl Secret(58→48→53)英

3位 Kap Rock(22→90→47)仏

4位 Captain Chop(59→28→27)仏

5位 Brave Mansonnien(9→12→16)仏

6位 Notnowcato(88→85→15)愛

7位 Dunaden(52→16→9)英

8位 Orientor(8→12→9)英

9位 ギンザグリングラス(1→4→3)日

10位 Indian Haven(5→3→2)英

11位 T F Classic Twist(2→0→1)米

全体では、450?→533→403

(フランス供用種牡馬の種付け数が判明したため加筆)

 

この他、南アフリカ共和国にLinngari、トルコにHep Beraber、インドにShifting Power、チェコにSleeping Indian、アルゼンチンにLuck Moneyがいるが、詳細は不明。

 

実質的にヘロド系に属すると思われるセントサイモン系についても紹介しておきます。

オーストラリアのLove Conquers Allが頭数不明ながら筆頭。デビューしている産駒が非常に多いことから、毎年100を遥かに超える繁殖牝馬が付けられていたと想像できます。

初年度は200頭に迫る頭数を付け、オーストラリア新種牡馬ランキングで2位(賞金ベース)、または1位(勝ち数ベース)となっています。

1位? Love Conquers All ? オーストラリア

2位 Flemensfirth(78)アイルランド

3位 Shantou(53)アイルランド

4位 Nonios(29)カナダ

5位 Moonshine Mullin(17)アメリ

6位 デビッドジュニア(3)日本

7位 Cullasaja King(1)アメリ

7位  Demon Warlock(1)アメリ

7位  Albertus Maximus(1)アメリ

7位 Fun and Fancy Free(1)アメリ

7位  Zamperini(1)アメリ

 

2位、3位はリボー系の障害用種牡馬。ここからラインが伸びることは無いでしょう。

その下は北米のリボー系で、20年前は大勢力でしたが、今は見る影もなく壊滅しています。Pleasantly Perfectの後継種牡馬であるNoniosは、意外にも産駒がそこそこ走っているようで、2019年はカナダに移動して29頭の交配を得ました。

速報には上がってきていませんが、これ以外にもアメリカにはペット同然のプリンスローズ系種牡馬が大量にいるようで、下手をするとこれがこの系統で最後に残ることになるかもしれません。

ヘロド系にセントサイモン系を合わせた世界全体で、700前後と言ったところでしょう。

なお、三大始祖のマッチェム系(ゴドルフィンアラビアン系)は800~1000程度ではないかと考えているので、数の上ではそこまでの差はなさそうです。

牡馬の去勢率には格段の差がありそうですが。

 

一応各種牡馬の紹介

・ダイヤモンドボーイ Diamond Boy(2006年、フランス)

2010年スカラムーシュ賞(LR)など。同年のハンデ戦でDunadenに勝ったこともある。

父はリュティエ系の障害種牡馬Mansonnienで、全兄に障害のG1馬Golden Silverがいたことから去勢されずに走った。

2012年にフランスで種牡馬入りした後は、AQPSを中心に障害で活躍馬を送り出し、2016年に種付け数は100頭を突破。2018年にアイルランドに移動してからは200頭を超えている。

更に成功を重ねて、自身と同型の種牡馬を出せればあるいは・・・

 

・パールシークレット Pearl Secret(2009年、イギリス)

2015年テンプルS(G2)など。G1はキングスタンドS 3着が最高で勝てなかった。

父はアホヌーラ系のCompton Place

Compton PlaceはIndian Ridgeの産駒で、ヘロド系最後のまともな成功種牡馬だった。

Compton Place産駒はセン馬が多く、2015年に死亡しているがまだ有力な後継は出ていない。

種付け数や供用国を考えると、本馬が実質的に唯一の後継種牡馬となる。

G1は勝っていないが、この系統は大物競走馬で繋いできたわけではなく、AhonooraIndian RidgeがG2馬、Compton PlaceもジュライCをフロック勝ちしただけなので、可能性はある。

なお、Dunadenと同じカタールのファハド殿下の持ち馬で、こちらも産駒が勝ったら報奨金が出るなどインセンティヴが存在する模様。

 

・キャップロック Kap Rock(2004年、フランス)

現役時はハードル競走で1勝のみ。

父は障害の名種牡馬Video Rock。その父は日本でもおなじみだったノーリュート

兄弟に障害のG1馬Geos他活躍馬が多数おり、そのため去勢されずに現役を送ったらしい。

障害用の種牡馬としてそこそこ成功しており、代表産駒はSharock(伊G2Premio LXIII Ezio Vanoni 2着)と思われるが詳細不明

2010年~2018年の種付け数は合計で501頭。キャリアハイは2018年の90頭という情報があり、2019年もそれなりの頭数付けたのではないかと思われるがフランス語の壁に阻まれ情報不足。

交配数が判明、2019年は47頭(暫定) 

 

・キャプテンチョップ Captain Chop(2008年、フランス)

カブール賞(G3)2着、エクリプス賞(G3)2着。スプリンター

父はアホヌーラ系のIndian Rocket(ミルリーフS勝ち)、その父Indian Ridge

産駒はサブロネ賞(LR)2着のMon Amie Chop、スペインで活躍したGueratyなど。

種付け数は供用開始の2013年から、20→19→7→9と当初はかなり少なかったが、2017年に一気に60頭近くに激増した。ただしその後はやや落ち着いている。

この激増した世代は2020年デビュー予定。

 

・ブレイヴマンソニアン Brave Mansonnien(2003年、フランス)

Prix Léon Olry-Roederer(障害G2)4着など

父はDiamond Boyと同じくMansonnien

おじのKatiki(G12勝)など近親に障害の活躍馬が多数おり、去勢されずに現役を送ったらしい。

産駒にフィノー賞(LR)2着のRiquet Enfinなど。

 

・ノットナウケイト Notnowcato(2002年、イギリス)

2006年インターナショナルS、2007年タタソールズゴールドCエクリプスSなど。

父はアホヌーラ系のInchinor

エクリプスSで、ただ1頭外ラチ沿いに進路を取り、内ラチ沿いのレースをよそに1着でゴールしたのは衝撃的だった。

障害のLong Dogなどを出しており、障害向けの種牡馬として台頭した。2016年には157頭の繁殖牝馬を集めている。平地では豪スプリントG1, 3勝のRedkirk Warriorを出すなど、主にスプリント~マイル前後の産駒を出した。

2019年の繁殖シーズン、交配時の事故が原因で死亡した。

Redkirk WarriorやCustom Cutなどはセン馬のため後継種牡馬は無し。残されている産駒は、障害向けの馬が殆どであろうから、正直厳しいかもしれない。

 

・ドゥーナデン Dunaden(2006年、フランス)

2011年メルボルンC香港ヴァーズ、2012年コーフィールドCなど。

父はアホヌーラ系のNicobar(その父Indian Ridge

日本でも2013年にジャパンCで5着に入った。

2015年からイギリスで、半平地・半障害用として種牡馬生活をスタートさせた。

初年度は97頭の交配に恵まれたが、その後は減少。2019年に放牧中の事故で死亡した。

今の所産駒にステークス勝ち馬は出ていないようだ。産駒の去勢率がやはり高く、残った産駒も苦しそう。

Pearl Secretと同じカタールのファハド殿下の持ち馬で、産駒が勝ったら報奨金が出るなどインセンティヴが存在するらしい。

 

・オリエンター Orientor(1998年、イギリス)

チップチェイスS、スプリントSなどG3を2勝。

父はNotnowcatoと同じくアホヌーラ系のInchinor

人気のあったJack Dexter(G3チップチェイスS勝ち)という産駒がいたが、現役中に死亡している。産駒数は少ない。

 

・ギンザグリングラス(2005年、日本)

JRA、川崎、浦和で1勝づつ。

父はメジロマックイーン

引退後に熱心なファンが引き取り種牡馬入りした。

産駒は2018年6月16日にクイーンソネラが勝利。内国産連続5代勝利を達成した。2019年12月7日には、フェイドハードが勝利し、内国産馬連続5代勝利も達成している。

現在日本に存在する父系としては、最も古い物らしい。

なお、現在は日本唯一のヘロド系種牡馬だが、2020年はトウカイテイオー産駒のクワイトファインも供用される予定。

 

・インディアンヘイヴン Indian Haven(2000年、イギリス)

愛2000ギニー(G1)

父は名種牡馬Indian Ridge

愛2000ギニー後は全く振るわず、そのまま引退種牡馬入り。

産駒はAshram、Aspen Darlinと2頭のG3馬こそ出ているものの不振で、近年は数頭の種付けに留まっている。

 

ティーエフクラシックツウィスト T F Classic Twist(2011年、アメリカ合衆国

Atlantic - Le Sancy - Bonne Nuit系

ザテトラークを経ないルサンシー系という強烈な血統。

2000年代に日本のディープな血統ファンの間で一時話題になっていたTriple Twist、その馬の産駒である。

これまで紹介してきた馬たちとの共通祖先は、230年以上前のBuzzard(1787年生)まで遡らなければならない。また、父系6代にわたって公式な競馬に出走した形跡がない。

5代前のBonne Nuitが馬術障害飛越用の種牡馬として大成功し、系統を確立した。

この系統最大の名馬がGem Twist(1979年)という馬で、ソウルオリンピックで銀メダルを獲得するなど、アメリ馬術史上有数の名馬と言われている。

ただ、馬術の活躍馬はセン馬が多く、系統を繋いできたのは傍系である。また、サラブレッド以外の品種改良が進んできていることから相対的な弱体化は否めない。

2008年にはGeminiという、Gem Twistのクローンが作成されており、この系統に対する圧迫が心配される。

Thoroughbred Pedigree Databaseによると、2017, 18年生まれの産駒がいるが、いずれも牝馬

 

ここ以下はメモ

Al Wukair 120(フランス)

Tiznow 113(アメリカ)

Bal a Bali 74(アメリカ)

Tourist 70(アメリカ)

Dream Ahead 57(フランス)

Gemologist 48(アメリカ)

ティズナウの後継がこけ続けたり韓国に輸出されたりで一気に怪しくなってきた。

昨年も年初からMorning Lineがいきなり死亡。

10年前は100頭オーバーの種牡馬アメリカにはゴロゴロいたが、2019年は22歳のTiznow1頭だけになってしまった。

このままいくと、Pleasant Colony没後のリボー系の2の舞だろう。

Bal a BaliはさしずめAlbert the Greatの役回りか。

ただし欧州側のDream Aheadは引き続き好調の模様。160→70→70→120→60(大体)と来ているが、2019年後半の好調で2020年は再び100を超えてくるだろう。その産駒のAl Wukairも、供用初年度から2年連続で110越え。

続報:セントサイモンの真の父系

海外の情報によれば、St. Simonの父系に齟齬が発生した地点として、DelpiniとDelightという2頭のヘロド系種牡馬が急浮上しているらしい。

 

Delpini

Whitelockの父はHambletonianとして記録されているが、Whitelockの母RosalindにDelpiniも同時に種付けされた疑惑がある。

Delpiniの父はHighflyer

 

Delight

当時の噂として、Galopinの父はDelightというものが存在。

Delightは、ダービーに勝った失敗種牡馬Ellington(父The Flying Dutchman)の産駒にあたり、Woodpecker-Sultan系に属している。

 

どちらが正しいかを確定する方法は2つあり、

1つはHighflyer系とWoodpecker系のY染色体を詳細に比較する。

もう1つが、Galopinを経由しないWhitelock系であるSpeculum系の馬を、ブラジルやクォーターホースから何とかして探し出して(見つからなければ墓を暴いて)、Y染色体ハプロタイプを比較する。

などの方法があります。

 

※追記:2019年に更に解析範囲を146万塩基対から、646万塩基対に広げて実施された模様

これにより更にEchipseのハプロタイプが確定するなどより詳細に系統樹が描けるようになりましたが、この調査でもHighflyer系やWoodpecker系固有の突然変異を見出すことができなかったようで、どちらの説が正しいか明らかには出来ませんでした。

なお、この論文の著者は「Galopinの父Delight説」を採用しているようです。

後でまとめます。

Peter Mccueの系統について

去年バイアリーターク系のY染色体系統樹のところで、Peter Mccueについて触れましたが、以前こちらではダイオメド系となっていたのに、いつの間にかマッチェム系に訂正されていました。

何か新情報があったのでしょうか?

それとも複数説があった中で、Y染色体の解析結果からこちらの説が有力になってきたという事でしょうか。

分かりませんが、これで系図Y染色体ハプロタイプの矛盾が少なくなり説明しやすくなったものと思われます。なによりゴドルフィンアラビアン系の初期父系における系図の誤りを想定しなくてよくなった点が大きいです。

根幹種牡馬ハプロタイプもかなり固まりました。

ゴドルフィンアラビアン(Tb又はTb-g1)とエクリプス(Tb-d又はTb-dW)が不明ですが、バイアリーターク(Tb)、ダーレーアラビアン(Tb-d)、ヘロド(Tb)、マッチェム(Tb-g1)についてはほぼ間違いないのではないと思います。

 

改めてまとめると以下のようになっているようです。

 

Tb始祖(アハルテケ)おおよそ400年前?

|Tbバイアリーターク

||Tbヘロド

|||Tbハイフライヤー

| ||Tbセントサイモン

| | |Tb-kラストオレンジ(セルフランセ主流血統)

| |Tb-rラムゼス(ホルシュタイン

|Tb-dダーレーアラビアン

||Tb-dMマンブリノ(スタンダードブレッド主流血統)

||Tb-d?エクリプス

|||Tb-dWホエールボーン(サラブレッド主流血統)

||Tb-dヤングマースク

|Tb or Tb-g1ゴドルフィンアラビアン

||Tb-g1マッチェム

| |Tb-g1ピーターマッキュー(クォーターホース)

| |Tb-g2コムス

ダーレーアラビアン系のY染色体系統樹

f:id:mhL:20171129002838p:plain

 長く放置していましたが久々の更新。

 参照元はこちら(論文本文ではなく、付録情報から引っ張ってきています)

Wallner, B., et al.(2017) "Y Chromosome Uncovers the Recent Oriental Origin of Modern Stallions."  Current Biology 27, 1–7.(1年後オープンアクセス)

 一部私の推定に基づいていますが、大枠では正しいはずです。 

 Darley Arabian自身はTb-d。これはByerley TurkのTbと極めて近く(子系統になる)、300~450年前に生きていたアハルテケに遡る可能性が高いようです。三大始祖はいずれもアハルテケか、少なくともトルコ系の馬に関連していたことになります。

 

 Darley Arabianの主要な子孫では、トロッターやサドルブレッドに残るFlying Childers系がTb-dM、サラブレッドのWhalebone系はTb-dW。これらはいずれも1塩基突然変異で、取り違えは無かったものと思われます。Whalebone系内や、ヘロド系の正確性を見るに、サラブレッドの父系は意外にも正しいと言えるでしょう。

 

 ハクニーのFlying Childers系は、Whalebone系やアラブやアハルテケに見られるハプロタイプTとなっており、関係のないところから混入した様です。

 

 残念なことに、サラブレッドにも残るKing Fergus=St. Simon系は、Byerley Turk系と同じTb(一部はTbから更にTb-kに変異)となっています。おそらくByerley Turk系(他の始祖の可能性もあるが)がどこかの世代で入ってしまったと考えられます。

 仮にKing Fergus~Whitelock辺りでヘロド系が入ったとすると、当時はHighflyer系が強かったはずで、HerodやHighflyer、St. Simonを出したにもかかわらずこの父系は衰退したことになり、相当な運の悪さです。間の悪いことに、英国ヘロド系に止めを刺したのが当のSt. Simonでした。そして、その父系もわずかな期間で自壊。。。

ゴドルフィンアラビアン系のY染色体系統樹

ゴドルフィンアラビアン系のY染色体ハプロタイプ

f:id:mhL:20170812004550p:plain

ゴドルフィンアラビアン系の解析結果の転載です。

7頭しか解析されていません(いずれも非サラブレッド)。

 

基本的なY染色体ハプロタイプはTb-g2。

解析された馬たちの共通祖先にあたるComus 1809がTb-g2であり、それ以降の子孫に受け継がれたわけです。

Protector系のうち、ハノーファーになった馬たちもTb-g2あるいはそのサブタイプのTb-g3ですが、一部(2例。何れもFerdinand 1941(Feiner Kerl分枝)の子孫)にTb-dW(Eclipse系分枝Whalebone系)の混入が見られます。

 

Comus以外の子孫について解析されていないため、Godolphin Arabian 1724やMatchem 1748のハプロタイプは不明です。

一応、取り違えなどが無ければTb-g1又はTb(Byerley Turk系と同じ)であったと思われます。そこから代を経て、Tb-g1、そしてTb-g2などのサブタイプが生まれて行ったという説明ができるでしょう。

Tb-g1自体がTbのサブタイプなので、Godolphin Arabian自身も、Byerley Turkと同じくアハルテケの血を引いていたことになり、サラブレッドの祖先としてのアハルテケの影響は、従来考えられていたよりはるかに大きいと言えるでしょう。

Godolphin Arabianの墓は残っており、またMatchem産駒はComusに繋がるConductor 1767以外にも、トロッターになったMagnum Bonum 1773の子孫が残っているので、これらを解析すれば判明するんじゃないでしょうか(誰がやるんだw)。

 

なお、サラブレッドに残るMan o'War 1917系について解析されておらず、少し不安が残る結果となっています。

 

(以下個人的な意見)

それ以外に個人的な疑惑として、Florizel-Lexington系のクォーターホースにTb-g1が検出されているのが少々気になっています。Tb-g1はTb-g2の親タイプです。また、Tb-g1の親タイプはTb(Byerley Turkやアハルテケ)となります。

Comus(Tb-g2)を経ないGodolphin Arabian系(Tb-g1?)がクォーターホースに間違えて入ってしまったと考えたほうが自然ですが、データ上は逆の説明もできてしまう。つまり、Comusは実際にはFlorizel系・・・。クォーターホースの初期血統の管理のずさんさを考えればFlorizelがTb-g1であった可能性は低いと思いますが・・・

 

追記

Florizel-Lexington系のクォーターホースの件ですが、この系統はそもそも血統書からして複数の説があったようで、実はゴドルフィンアラビアン傍系(Matchem-Alfred-Tickle Toby)だそうです、取り違えの可能性はかなり低くなりました。

古い時代の場合、父名にも複数の説があり解析に困る場合がありますが、逆にY染色体で推定できる場合もあり、解析も無駄ではないと思います。

また、これによりMatchemのY染色体ハプロタイプはTb-g1で確定できます。

バイアリーターク系のY染色体系統樹

バイアリーターク系のY染色体ハプロタイプf:id:mhL:20170730013418p:plain

(カレントバイオロジーの論文の図を一部改造して転用)

基本的なY染色体ハプロタイプはTb。系統の祖であるヘロドはTbで確定です。

アハルテケの主要タイプもTbなので、変な取り違えが無ければバイアリータークもTbであったことでしょう。

サラブレッドとしては既に滅んだハイフライヤー系も、6系統7サンプル全てTbとなっています。

それ以外は、ルサンシー周辺と、フロリゼル=ダイオメド系のクォーターホースになった馬たちでTb以外のハプロタイプが見られます。

このうち、ルサンシーのひ孫であるRamzesの子孫については突然変異で説明が可能です。

クォーターホースの方は少々複雑な構成になっており、Old Sorrelの子孫はホエールボーン(Tb-dW)やセントサイモン(Tb)を経ないダーレーアラビアン傍系のハプロタイプ(現在ではヤングマースク子孫の乗用種に残るのみ)、Sheikの子孫ではコムスを経ないゴドルフィンアラビアン傍系(この調査では他に1例も検出無し)のハプロタイプとなっており、取り違えが少なくとも2度起こっていることが分かります。

フロリゼル~ピーターマッキューの間は存続している系統が少なく、どこでどう取り違えたのか分かりません。解決にはレキシントンの遺体を発掘調査するなどと言った手段が必要でしょうね。

 

追記

クォーターホースのヘロド系ですが、マッチェム系(Matchem-Alfred-Tickle Tobyの系統)説もあるようで、これで説明が付きそうです。

ということはヘロド系は調べられた範囲内では取り違えは一切なかったことになります。ただ、フロリゼル=ダイオメド系は既に完全に消滅していることに。