バイアリーターク系のY染色体系統樹

バイアリーターク系のY染色体ハプロタイプf:id:mhL:20170730013418p:plain

(カレントバイオロジーの論文の図を一部改造して転用)

基本的なY染色体ハプロタイプはTb。系統の祖であるヘロドはTbで確定です。

アハルテケの主要タイプもTbなので、変な取り違えが無ければバイアリータークもTbであったことでしょう。

サラブレッドとしては既に滅んだハイフライヤー系も、6系統7サンプル全てTbとなっています。

それ以外は、ルサンシー周辺と、フロリゼル=ダイオメド系のクォーターホースになった馬たちでTb以外のハプロタイプが見られます。

このうち、ルサンシーのひ孫であるRamzesの子孫については突然変異で説明が可能です。

クォーターホースの方は少々複雑な構成になっており、Old Sorrelの子孫はホエールボーン(Tb-dW)やセントサイモン(Tb)を経ないダーレーアラビアン傍系のハプロタイプ(現在ではヤングマースク子孫の乗用種に残るのみ)、Sheikの子孫ではコムスを経ないゴドルフィンアラビアン傍系(この調査では他に1例も検出無し)のハプロタイプとなっており、取り違えが少なくとも2度起こっていることが分かります。

フロリゼル~ピーターマッキューの間は存続している系統が少なく、どこでどう取り違えたのか分かりません。解決にはレキシントンの遺体を発掘調査するなどと言った手段が必要でしょうね。

 

追記

クォーターホースのヘロド系ですが、マッチェム系(Matchem-Alfred-Tickle Tobyの系統)説もあるようで、これで説明が付きそうです。

ということはヘロド系は調べられた範囲内では取り違えは一切なかったことになります。ただ、フロリゼル=ダイオメド系は既に完全に消滅していることに。