ゴドルフィンアラビアン系のY染色体系統樹

ゴドルフィンアラビアン系のY染色体ハプロタイプ

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ゴドルフィンアラビアン系の解析結果の転載です。

7頭しか解析されていません(いずれも非サラブレッド)。

 

基本的なY染色体ハプロタイプはTb-g2。

解析された馬たちの共通祖先にあたるComus 1809がTb-g2であり、それ以降の子孫に受け継がれたわけです。

Protector系のうち、ハノーファーになった馬たちもTb-g2あるいはそのサブタイプのTb-g3ですが、一部(2例。何れもFerdinand 1941(Feiner Kerl分枝)の子孫)にTb-dW(Eclipse系分枝Whalebone系)の混入が見られます。

 

Comus以外の子孫について解析されていないため、Godolphin Arabian 1724やMatchem 1748のハプロタイプは不明です。

一応、取り違えなどが無ければTb-g1又はTb(Byerley Turk系と同じ)であったと思われます。そこから代を経て、Tb-g1、そしてTb-g2などのサブタイプが生まれて行ったという説明ができるでしょう。

Tb-g1自体がTbのサブタイプなので、Godolphin Arabian自身も、Byerley Turkと同じくアハルテケの血を引いていたことになり、サラブレッドの祖先としてのアハルテケの影響は、従来考えられていたよりはるかに大きいと言えるでしょう。

Godolphin Arabianの墓は残っており、またMatchem産駒はComusに繋がるConductor 1767以外にも、トロッターになったMagnum Bonum 1773の子孫が残っているので、これらを解析すれば判明するんじゃないでしょうか(誰がやるんだw)。

 

なお、サラブレッドに残るMan o'War 1917系について解析されておらず、少し不安が残る結果となっています。

 

(以下個人的な意見)

それ以外に個人的な疑惑として、Florizel-Lexington系のクォーターホースにTb-g1が検出されているのが少々気になっています。Tb-g1はTb-g2の親タイプです。また、Tb-g1の親タイプはTb(Byerley Turkやアハルテケ)となります。

Comus(Tb-g2)を経ないGodolphin Arabian系(Tb-g1?)がクォーターホースに間違えて入ってしまったと考えたほうが自然ですが、データ上は逆の説明もできてしまう。つまり、Comusは実際にはFlorizel系・・・。クォーターホースの初期血統の管理のずさんさを考えればFlorizelがTb-g1であった可能性は低いと思いますが・・・

 

追記

Florizel-Lexington系のクォーターホースの件ですが、この系統はそもそも血統書からして複数の説があったようで、実はゴドルフィンアラビアン傍系(Matchem-Alfred-Tickle Toby)だそうです、取り違えの可能性はかなり低くなりました。

古い時代の場合、父名にも複数の説があり解析に困る場合がありますが、逆にY染色体で推定できる場合もあり、解析も無駄ではないと思います。

また、これによりMatchemのY染色体ハプロタイプはTb-g1で確定できます。