現存するシンザンの子孫(牝系経由)
シンザンの父系子孫は、ミホシンザン→マイシンザンと受け継がれましたが、既に断絶しています。
ただ、それをもってシンザンの血を持つ馬が全て消え去ったわけではありません。
2013年にG1を3勝したメイショウマンボなど、血統表のどこかにシンザンを持つ馬はまだまだおり、判明した限りまとめてみました。
なお、かつて重賞馬を出していた牝系でも、途絶えていれば載せていません。
また、牝系自体は存続していても、基本的には現役の繁殖牝馬とその先祖馬しか載せていないので、活躍馬でも漏れが多いと思います。
全体としては、40~50頭程度サラブレッドの繁殖牝馬がいるようで、日本で走っている馬の0.4%程度はシンザンを持っていると言えるかもしれません。
数としてはおそらくミスターシービー(44頭?)とほぼ同じぐらいで、ナリタブライアン(20頭)の子孫よりは多い程度。
安定しているとはいえず将来的には不安が残ります。
牝系の存続は巡りあわせも大きく、末子の牡馬で姉が繁殖入りしていなかったり、 事故で死亡するなどして、重賞馬が出たその世代で断絶などと言うこともあります。
意外なことに、ミホシンザンの血を持つ馬が途絶えそうな一方で、ミナガワマンナの血を持つ馬はそれより多く、シルバーランドの血を持つ馬は近年拡大しています。
種付けされた種牡馬を眺めていたら、2019~20年にかけて何故かエピファネイアの名前が目立ち、期待が高まるところです。
素人が適当にまとめたものなので、見落としがおそらくあると思われます。
情報があればぜひ。
〇マルイチジョウオー系
マルイチジョウオー 1972(シンザン)
|ダイアンベンチヤ 1978(ヴェンチア)
||ウイルムーン 1987(ミルジョージ)
|||メイショウアヤメ 1995(ジェイドロバリー)G2報知杯4歳牝馬特別2着
||||メイショウモモカ 2002(グラスワンダー)
|||||メイショウガザニア 2008(キングヘイロー)
|||||メイショウマンボ 2010(スズカマンボ)G1オークス、G1秋華賞、G1エリザベス女王杯、2013年JRA最優秀3歳牝馬
||||メイショウスコール 2005(メイショウオウドウ)
|||||メイショウユウダチ 2010(メイショウボーラー)
|||||メイショウルクール 2015(エンパイアメーカー)
||ダイアナスキー 1991(マルゼンスキー)
|||ケイアイベール 1996(サクラユタカオー)
||||マイネレーツェル 2005(ステイゴールド)G2フィリーズレビュー、G2ローズS
|||ホシノメガミ 2000(サンデーサイレンス)
||||スターポケット 2010(ジャングルポケット)
|||メイショウボナール 2006(ホワイトマズル)
||||メイショウワカクサ 2014(サマーバード)
現役繁殖牝馬が確認できた限り9頭いる。
G1を3勝したメイショウマンボや重賞2勝のマイネレーツェルなどを擁する有力な牝系。
2020年には、メイショウマンボの初仔メイショウイチヒメが2歳新馬を勝ちあがった。2019年はロードカナロア(牝馬)、2020年はエピファネイアが種付けされている。
マイネレーツェル産駒はOPまで行ったマイネルネーベルなどそこそこ走っている。2020年はエピファネイアを種付けしたようだ。
〇フシミレディ系
フシミレディ 1975(シンザン)
|アカリジヨオー 1981(パーソナリティ)
||アカリホマレ 1991(ビゼンニシキ)
|||ラブリースイート 1999(ボールドノースマン)
||||セクシイスイート 2008(タヤスツヨシ)
フシミレディは、東海大賞典や名古屋大賞典に勝ち、宝塚記念などにも出走したミヤジダケオーの姉。
セクシイスイートは中央2勝。中山大障害で逃げて完走(11着)。
〇ファインドラマ系
フアインドラマ 1974(シンザン)愛知杯2着、函館記念5着
|リアルドラマ 1988(リアルシャダイ)
||レイオブライト 1996(ウイニングチケット)
|||フェイズシフト 2006(サクラバクシンオー)
|||リュンヌ 2007(クロフネ)
|||ロマンチックドラマ 2013(ハービンジャー)
|エイプリルドラマ 1989(サクラユタカオー)
||スウェリングドラマ 2005(バブルガムフェロー)
|||ファーマフレア 2011(スウェプトオーヴァーボード)
||カフラピコ 2011(キングカメハメハ)
||トリルビー 2012(デュランダル)
現役繁殖牝馬は6頭。この牝系からは2006年のNHKマイルCロジックが出ている。ロジックは種牡馬入りできなかったが、G1馬が出た牝系と言うことで、ここ2,3年でもラニやエピファネイア、アドマイヤムーンなどが種付けされている。
〇フレンドシザラ系
フレンドシザラ 1981(シンザン)
|シンカンノゾミ 1994(アスワン)
||キヌガサアジュディ 2002(アジュディケーティング)
|シンカンメグミ 1996(マルゼンスキー)
||シンカンミグフジ 2008(キャプテンスティーヴ)
||エピックフィリー 2013(アグネスデジタル)
シンカンメグミの産駒にマイネルオベリスク(上総S勝ち)がいる。キヌガサアジュディは、JBIS上だと2020年の種付けは不明だが、現役馬は複数残っている。
〇ウラカワジェンヌ系
ウラカワジエンヌ 1971(シンザン)
|ウラカワクオリテイ 1980(パーソロン)
||チョウカイオバコ 1990(ブレイヴエストローマン)
|||キャニオンドリーム 2001(ブラックタイアフェアー)TCK女王盃4着
現役繁殖牝馬はゼロ?
ただしキャニオンドリームは、産駒10頭のうち、3歳のドローム(そのうちどこかで勝ちあがりそう→その後勝ち上がり)以外全頭が勝ち上がるなど出来が良く、これなら産駒のマルカンセンサー(TCK女王盃競走2着)は繁殖入りするのではないか?どこかで重賞を勝ってほしいところ。
〇シンラツキー(シンラッキー)系
シンラツキー 1976(シンザン)
|カルメンシータ 1989(ワイズカウンセラー)G1を2勝、2001年JRA最優秀スプリンターのトロットスターの母
||レギンレイヴ 2002(ハンセル)情報不足。
現役馬がJRAを含めて数頭おり、繁殖入りの可能性あり。
2001年の高松宮記念とスプリンターズSを勝ったトロットスターがいる牝系だが、少し苦しい。
〇オーロラシロー系
オーロラシロー 1982(シンザン)
|ミドリノマキバヒメ 1994(タイトスポット)
||トキノナイス 2007(チアズブライトリー)
|オーロラテルコ 1998(ミスターシービー)
||キューティホーク 2002(トウカイテイオー)
||カワイミチコ 2004(シンボリルドルフ)
||ハツネ 2009(トウカイテイオー)
||クワイトファイン 2010(トウカイテイオー)種牡馬
オーロラテルコ産駒は何れも血統表に三冠馬が3頭いるこだわり配合。ただしその配合相手はタニノギムレットやネオユニヴァースだったりする。エポカドーロやトーセンホマレボシ付けたほうがネタで売れそうな気がするのは第三者の無責任な考えか。
クワイトファインはクラウドファンディングで種牡馬入りした経緯で結構な知名度がある。
キューティホークもnetkeibaの掲示板を見るとどこかで取り上げられたらしい。
なお、オーロラシロー産駒には、新潟記念3着のランドミッシェルがおり、その産駒に函館2歳Sを勝ったニシノチャーミーがいる。
ここから拡大する可能性もあったが、ニシノチャーミーは残念ながら引退直後に肺炎のため死亡したらしい。
〇マイソール系
マイソール 1975(シンザン)
|セレクトサンキスト 1981(トウショウボーイ)小倉記念馬マルブツサンキストの母
||セレクトロマン 1991(プルラリズム)函館2歳S馬サダムブルースカイの母
|||アインライツ 2001(ティンバーカントリー)
||||ポッドレイ 2010(マンハッタンカフェ)
この牝系は重賞馬を何頭か出している。残っているのはアインライツ、ポッドレイ母子のみだが、ポッドレイの産駒にはロードカナロアやハービンジャー産駒がおり、最悪走らなくても特に前者は繁殖入りしそうな気はする。
※2023年1月追記 アインライツ産駒のヒーローコール(父ホッコータルマエ)が2022年NARグランプリ2歳最優秀牡馬に選出。
〇カタリナラビット系
カタリナラビット 1986(シンザン)G3中山牝馬S5着。G3関谷記念、G3朝日CC、5着G1天皇賞(秋)のカンファーベストの母
|ラビットコスモ 1995(マルゼンスキー)
||トキメキハニー 2006(フジキセキ)
|||トキメキブンブン 2011(タニノギムレット)
|||トキメキユキチャン 2013(ブライアンズタイム)
カタリナラビットはシンザン最終世代の1つ前の世代だったと記憶。長く重賞戦線を沸かせたカンファーベストの母となった。
トキメキユキチャンはマルゼンスキー→フジキセキ→ブライアンズタイムが累代されていて、血統表はそれなりに賑やか。
〇ハシカツプ(ハシカップ)系
ハシカップ 1974(シンザン)
|メモリーグレイス 1985(ノーザリー)
||メモリーアフリート 1996(アフリート)
|||メモリーソフィア 2006(ジェニュイン)
|||メモリーキャップ 2007(キャプテンスティーヴ)
一時広がった牝系の様だが、現在は2頭のみ。メモリーアフリート産駒は、名古屋笠松の重賞戦線で長く活躍し合計31勝、11歳でも笠松の重賞を勝ったメモリージルバ、笠松ローカルの話ではあるが、デビューから14連勝し、15戦目の2着後故障引退したメモリーファルコンらがいる。
地方で堅実に走る系統のようで、メモリーアフリート産駒8頭は全頭が勝ち上がり、合計で76勝もしたようだ。
メモリーキャップ産駒のメモリーコウは、マリーンC(G3)やブリーダーズゴールドC(G3)で2着がある。どこかで重賞を勝ってほしいところだ。
〇ハクヨウチカラ系(ばんえい)
ハクヨウチカラ 1970(シンザン)
|虹湯 1980(虹裁)半血
||峰栄 1986(峰雲)半血
|||栄姫 1996(アカギテンリユウ)半血
||||ニューミミ 2013(タカライーグル)日本輓系
||||栄 2016(カネサブラック)日本輓系
|||ユセクイン 1997(アカギテンリユウ)半血
||||福花 2005(タカラゼンシン)日本輓系
|||||ホクショウモモ 2012(ナオイチ)日本輓系 ばんえいオークス勝ち
|||||フクガクル 2016(ユウユウホマレ)日本輓系
||||サユリビジン 2013(ナオイチ)日本輓系
||||カミダノミ 2016(ナオイチ)日本輓系
|忍姫 1992(峰雲)半血
||音姫 2002(ハッコーダキング)半血
|||音美 2007(タカライーグル)日本輓系
||||イクミファイター 2013(ブレーブファイター)日本輓系
ばんえい馬の系統。遡るとスウヰイスーから出ている。
2000年代にキンノカミ(母ユセクイン)が出たあたりでシンザンの血が入っていると少し話題になった。
その後2015年にはホクショウモモがばんえいオークスに勝利した。
〇その他のシンザン産駒
この他シバイチヒメ、サンワシンザン(ブルコ辺りは繁殖入りしてもおかしくない)、ミナガワシルビア、シユツランなどの牝系は現役馬がおり、繁殖入りの可能性がある。
フセノダンサーとシンシラオキの牝系は現役馬が残っているが、全て牡馬なので未把握の馬が繁殖していない限り苦しいか。
シンザン産駒種牡馬からの牝系
〇チェリーブロッサム系(エキスパート経由の乗用種)
チェリーブロッサム 2002(エキスパート)中間種(障害飛越系)
|チェリースマイル 2014(ウォーロードⅡ)中間種
エキスパートの父がシンザン。競技馬の系統。
やまがた乗馬クラブにいるらしい。おじ(母の全弟)は国体にも出ていた。
他にもシンザンの血を持つ競技馬がいるかもしれないが、調べようがないというのが正直なところ。
繁殖用に繋養されているわけでは無いと思うが、一応掲載した。
〇アサヒマーキュリー系(ミナガワマンナ経由)
アサヒマーキュリー 1991(ミナガワマンナ)
|アサヒライジング 2003(ロイヤルタッチ)
||トーホウキララ 2014(キングズベスト)
||ツォルニッヒ 2015(シンボリクリスエス)
|コウヨウルビー 2010(バブルガムフェロー)
アサヒマーキュリーは、ミナガワマンナの代表産駒アサヒジュピターの全妹。
更に遡ると、シンザンと関連の深いアサヒダイオーやアサヒエンペラオーがいる。
アサヒライジングはG3クイーンSに勝ち、G1のアメリカンオークス、秋華賞、ヴィクトリアマイルで2着の実績がある。
アメリカンオークスに勝ったら、ミナガワマンナの名がアメリカの地に轟いたかもしれない。
2020年にはツォルニッヒにモーリスが種付けされたものの、不受胎に終わったのは残念。
〇レディープロスパー系(ミナガワマンナ経由)
レディープロスパー 1988(ミナガワマンナ)
|エスワンスペクター 2001(シャンハイ)エーデルワイス賞(G3)勝
||ロトラトゥール 2011(ゴールドアリュール)
||ロトクルーザー 2012(クロフネ)
||ロトクレドール 2013(アドマイヤムーン)
エスワンスペクターは産駒に中央3勝のディーエスコンドルや、笠松グランプリなど地方で20勝したエスワンプリンスなど産駒も結構走った。そろそろ孫がデビューする。
〇ロングチアーズ系(ミホシンザン経由)
ロングチアーズ 1989(ミホシンザン)札幌記念2着のファイトコマンダーの母
|マリンフェスタ 2003(サクラバクシンオー)アイビスSD2着
マリンフェスタの産駒は、OPクリスマスローズSに勝ち、G3函館スプリントS3着のレンイングランドなどそこそこ走っている。
レンイングランドはシンザン記念にも出走したが、距離も長く5着まで。
ただし、マリンフェスタは産駒9頭の内、ペガサスハーツを除いて全て牡馬に偏ってしまったため牝系の広がりは弱い。2020年はモーリスを種付けするも不受胎。
ペガサスハーツは去年JRAでデビューしてダート短距離を2着、5着、3着。
これが繁殖入りしないとミホシンザンの血を持つ馬は全滅する可能性がある。
父ハーツクライなので繁殖入りしそうな気はするが。
※2023年追記 ペガサスハーツはその後繁殖入り。マリンフェスタの2022(父ロードカナロア)も牝馬らしい
余談だが、シンザンの血が途絶えるまでに、シンザン記念を勝つ馬は出るのだろうか。
最高着順はシングンの2着のはず。マイシンザンもビリだったし。
〇クアドリフォリオ系(ミホシンザン経由)
クアドリフォリオ 1989(ミホシンザン)JRA5勝
|オークルーム 2000(ペンタイア)
オークルーム産駒にG3京成杯オータムH4着のカルヴァリオなどがいる。
既に高齢のため、オークルームの2020(父マツリダゴッホ)が繁殖入りしなければ厳しい。
〇ニットウドリーム系(ミホシンザン経由)
この他に現役の繁殖牝馬は情報不足で確認できないが、ニットウドリーム(1989年生)の牝系に現役競走馬の牝馬が7頭おり、繁殖入りの可能性がある。
※2023年1月追記 ニットウリエの繁殖入りを確認
〇ウーマンパワー系(シルバーランド経由)
ウーマンパワー 1979(シルバーランド)G3札幌3歳S勝ちインターボイジャーの母
|グランドウイナー 1988(ニホンピロウイナー)
||レイナロバリー 1992(ジェイドロバリー)G2報知杯4歳牝馬特別5着
|||レイナワルツ 2000(ブラックタイアフェアー)JBCクラシック3着、フィリーズレビュー3着など17勝
||||クインポルカ 2010(タニノギムレット)
||||ティーエスクライ 2012(ハーツクライ)
||||レイナプティ 2014(ネオユニヴァース)
|||グランジョイ 2005(ダンスインザダーク)産駒にOP3勝のスーサンジョイ
||||スーサンゴー 2014(ジャングルポケット)
||||グランソフィア 2017(キングカメハメハ)
シルバーランドの代表産駒ウーマンパワーの牝系。
現役繁殖牝馬は6頭で、規模としてはマルイチジョウオーの牝系に次ぐ大きさがある。
中央の上級戦レベルでも時折見かける。
レイナワルツの姉にグランドレイナ(紅梅S勝ち)がおり、この馬が無事ならここからも広がったかもしれない。
オーナーのバックアップが強力なのか、時々キングカメハメハやエピファネイアなどが種付けされていることがある。