上は関連。2022年版
2021年の東京大賞典も終わったので、世代比較してみようかと思います。
全体的に雑多なメモ書きです。
コメントやtwitterでいくらか意見を頂いたので、それらを元に手を加えました(左右反転など)。
前回は単純な賞金額で比較していましたが、今回は累積賞金率で比較する方式に変更しました。その年の全体賞金のうち、その世代が何%獲得したか算出し、年齢毎に合算して合計を出しています。
なお、分母となる全体賞金は、JRAの古馬重賞に東京大賞典(国際G1となった2011年以降のみ)を加算したもの。
分子となるその世代の獲得賞金は、JRAの古馬重賞と東京大賞典(2011年以降のみ)、海外の古馬の国際グレード競走のうち、その世代の日本調教馬が獲得した賞金を加算したものとしました。
海外賞金分がボーナスとなりますが、JCなどを海外馬に取られると、その分逆に減ります。
ダートグレード競走、サウジアラビア、韓国などは労力の関係で考慮していません。
サウジアラビアは国際グレードが付いたので、2022年から算入予定。
1位 127.2% 2009年生まれ世代(ゴールドシップ・ジェンティルドンナ)
2位 123.9% 1985年生まれ世代(オグリキャップ・スーパークリーク)
3位 123.6% 2015年生まれ世代(アーモンドアイ・フィエールマン)
4位 118.6% 2008年生まれ世代(オルフェーヴル・ロードカナロア)
5位 116.3% 1987年生まれ世代(メジロマックイーン・パーマー)
31位 85.2% 1992年生まれ世代(マヤノトップガン、ダンスパートナー)
32位 83.8% 1984年生まれ世代(メリーナイス・イナリワン)
33位 72.9% 1986年生まれ世代(ウィナーズサークル・オサイチジョージ)
34位 70.7% 2005年生まれ世代(ディープスカイ・エスポワールシチー)
1位は2009年生まれのゴールドシップ・ジェンティルドンナ世代。この2頭が勝ちまくりました。
2位は1985年生まれのオグリキャップ・スーパークリーク世代。稼ぎすぎて前後の世代が下位に登場してしまっています。
3位は2015年生まれのアーモンドアイ世代です。牝馬の大半やフィエールマンが抜けて大幅に失速していますが、6歳になっても20億超の賞金を獲得しました。まだ現役馬が残っているので、順調に行けば最終的には130~140%程度に達すると思います。
〇牡馬と牝馬別のグラフ
上が牡馬、下が牝馬
牝馬限定戦の割合が時代によって増減しているので、あくまで参考程度です。
なお、牝馬限定戦が賞金に占める割合は一貫して上昇しており、1990年は4.5%でしたが、2000年には7.2%、2010年には9.5%、2020年には9.9%となっています。
牝馬は他世代だけでなく、牡馬との競争もあるため、年によって累積獲得賞金率に4倍以上の開きがあります。特に強い世代としては、2004(ウオッカ、ダイワスカーレット)、2009(ジェンティルドンナ)、2015(アーモンドアイ)、2016(クロノジェネシス・グランアレグリア)生まれの世代が挙げられます。
牝馬が活躍した分、2004、2016は牡馬が割を食っていますが、牡馬も平均より強かった2009、2015は総合でも上位になっています。牝馬が期間内最低の1999年生まれ世代は、牡馬が非常に強力となっています。2005年生まれ世代は牡馬も牝馬も弱いです。
牝馬は5歳または6歳で賞金の伸びが止まる傾向があります。2000年以降は牝馬も4歳より5歳の方が稼いでいるので、衰えというよりはオープンクラスの牝馬はここで引退して繁殖入りしてしまっているのでしょう。
〇各カテゴリー別にしたもの
年代によって、そもそもの賞金割合が変動しているため、参考程度。それぞれの割合は後述。
〇1983年生まれ世代(1986年クラシック世代)
累積賞金率:107.5%
初の牝馬三冠馬メジロラモーヌの世代。ただしクラシック勝ち馬はメジロラモーヌとダイナコスモスが古馬で活躍できず、ダイナガリバーとメジロデュレンは実質有馬記念の1勝のみに終わりました。
累積賞金率1位は重賞6勝のニッポーテイオー(累積賞金率9.7%)が大きく、次いでラニンニングフリー(6.0%)、ダイナアクトレス、フレッシュボイス、カシマウイングとなっています。平均よりはやや強いです。
〇1984年生まれ世代(1987年クラシック世代)
累積賞金率:83.8%
サクラスターオーの世代。そのサクラスターオーが有馬記念で死亡。ダービー馬メリーナイス、牝馬二冠馬マックスビューティ、その他クラシック上位のマティリアル、ゴールドシチーも古馬相手ではあまり活躍できませんでした。
累積賞金率1位はタマモクロス(累積賞金率8.7%)、次いでイナリワン(6.8%)。この2頭が抜けていて、以下ホクトヘリオス、スルーオダイナ、シンウインドの順です。
障害レースでも実質的に歴代最下位の3.3%であまり稼げず、累積賞金率の指標では、中間層に厚みが無くかなり弱い世代となっています。
〇1985年生まれ世代(1988年クラシック世代)
累積賞金率:123.9%
オグリキャップやスーパークリークの世代。この世代はトップ層から中間層まで非常に豊富でした。
累積賞金率1位はオグリキャップ。オグリキャップだけで累積賞金率を13.0%も稼いでいます。次点はバンブーメモリー(7.4%)。
クラシック馬も、それぞれ菊花賞と皐月賞を勝ったスーパークリーク(7.1%)とヤエノムテキ(5.7%)が頑張りました。
ダートの累積貢献率は歴代最低で0.9%。一方、障害は20.8%で歴代最高だでした。シンボリクリエンスの他、パンフレット、メジロモントレーなど、累積貢献率1%以上稼いだ障害馬が7頭も居ます。
累積賞金率は歴代2位で、国内獲得分に限ると2009年生まれ世代を上回って1位です。史上最強世代の候補の1つだと思います。
〇1986年生まれ世代(1989年クラシック世代)
累積賞金率:72.9%
ウィナーズサークル世代。
全体的に弱く、クラシック勝ち馬が古馬で稼いだ賞金は、皐月賞馬ドクタースパートのステイヤーズS1着のみでした。なお、同馬は2歳時にダート1200mのレコードを出した後、4歳時のステイヤーズSでもレコードを出しており面白い馬ではあります(母父タケシバオー以上の条件幅)。翌年の天皇賞(春)2着馬ミスターアダムスを下していることを考えれば、無事ならもう少しやれたかもしれない(その後屈腱炎引退)。
累積賞金率1位は芝ダートで長く走ったカリブソング(5.0%)、ムービースター(4.6%)。
前後を強い世代に挟まれ、最終的に古馬G1勝ちは、オサイチジョージの宝塚記念のみに終わりました。このため史上最弱世代との評価もあります。累積賞金率はワースト2位です。
〇1987年生まれ世代(1990年クラシック世代)
累積賞金率:116.3%
貢献度1位はメジロマックイーン(累積賞金率12.2%)、次いでダイタクヘリオス(7.9%)。以下メジロパーマー、ダイイチルビー、イクノディクタス。
古馬G1で当時最多の12勝。累積賞金率116.3%は総合5位、国内に限れば3位の非常に強い世代です。4歳時(旧5歳時)に稼いだ賞金率が驚異的で、1991年に行われた重賞の賞金の半分に迫る49.7%に達しました。
この他、2つ上の1985年生まれ世代が障害でも稼いでいたのに対して、この世代は芝の牡馬に特化しており、牝馬限定戦やダート、障害レースの割合が少ない時代と言うこともありますが、芝の古馬レースの累積賞金率が102.4%で、最も高い世代となっています。
〇1988年生まれ世代(1991年クラシック世代)
累積賞金率:91.6%
トウカイテイオーの世代になります。
累積賞金率91.6%と、比較的弱い世代で、古馬G1馬はトウカイテイオーとヤマニンゼファーのみです。他には名脇役のナイスネイチャやツインターボなどがいます。なお、フジヤマケンザンが期間内初めて海外レースで勝利し、374万香港ドルを獲得しました。
累積賞金率1位はヤマニンゼファー(7.3%)、次いでナイスネイチャ(7.1%)、フジヤマケンザンの順で、トウカイテイオーは故障でまともに使えなかったのが響いて4位でした。
〇1989年生まれ世代(1992年クラシック世代)
累積賞金率:91.2%
二冠馬ミホノブルボンの世代です。ただしミホノブルボンは古馬戦を走ることは無かったので、ライスシャワー(累積賞金率5.8%)とサクラバクシンオー(4.7%)が主力になりました。次いでマチカネタンホイザ、アイルトンシンボリ、シンコウラブリイの順です。レガシーワールド、ニシノフラワー、トロットサンダーなどもおり、古馬G1勝利数は9勝とそこそこ多いのですが、累積賞金率の観点からは比較的弱い世代となります。
〇1990年生まれ世代(1993年クラシック世代)
累積賞金率:103.0%
ビワハヤヒデが代表馬で、他にナリタタイシン、サクラチトセオー、ウイニングチケットなどがいます。トニービン産駒が登場したのもこの年からです。
非常に故障離脱、特に屈腱炎が多い世代で、ダービーの上位5頭(ウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシン、ガレオン、マイシンザン)は屈腱炎(ガレオンは屈腱断裂)で引退に追い込まれました。牝馬クラシックもワコーチカコなどどんどん故障離脱していき、二冠を達成したベガも結局故障で引退。それ以外の上位馬でも、ネーハイシーザー、ステージチャンプ、マーベラスクラウン、トーヨーリファールなども故障しています。競走中の骨折で安楽死となったホクトベガやグローリークロスもこの世代です。無事だった上位馬は、サクラチトセオーとノースフライト、ハギノリアルキングぐらいでしょうか。
累積賞金率1位はビワハヤヒデ(5.9%)。次いでサクラチトセオー(5.4%)、ノースフライト、マーベラスクラウン、ネーハイシーザーの順です。飛び抜けて稼いだ馬はいませんが、累積賞金率2-5%の馬がかなり多く、累積賞金率は103%と100%を上回りました。
〇1991年生まれ世代(1994年クラシック世代)
累積賞金率:101.7%
三冠馬ナリタブライアンの世代です。3歳時は当時最多となる古馬重賞11勝。この年の獲得賞金率は11.8%と高水準でしたが、その後はナリタブライアンの故障もあり、やや伸び悩みました。
なお、三冠馬が登場する世代は弱いと言われますが、ナリタブライアンが存在しなかった場合でも累積賞金率は98.8%となり、世代の総合力では弱いわけではありません。
累積賞金率の方は、1位が天皇賞(春)や有馬記念に勝ったサクラローレル(6.6%)、次いで、タイキブリザード(5.7%)で、ナリタブライアン(4.4%)は3番手となります。4位5位は名障害馬ポレール、天皇賞(秋)を勝ったオフサイドトラップでした。
〇1992年生まれ世代(1995年クラシック世代)
累積賞金率:85.2%
マヤノトップガン世代です。ここでサンデーサイレンス産駒の登場になります。
累積賞金率1位はマヤノトップガン(6.8%)。続いてマーベラスサンデー(6.4%)、ダンスパートナー(4.6%)。その下はフラワーパーク、エムアイブラン、ジェニュインが僅差並んでいます。
サンデーサイレンス産駒登場の上、前年初年度を迎えたブライアンズタイム産駒も引き続き活躍しましたが、累積賞金率は1986年世代以来の低さでした。この後この世代を下回る世代は2005年まで現れませんでした。
G1勝利数(10勝)は普通ですが、古馬G2の史上最少勝利数(9勝)という記録を持っており、平均的な世代の半分以下に過ぎませんでした。G3の勝利数も34勝と非常に低水準です。中間層の弱さがこの結果になったのかもしれません。
〇1993年生まれ世代(1996年クラシック世代)
累積賞金率:98.2%
エアグルーヴの居る世代です。
クラシックはイシノサンデー、フサイチコンコルド、ダンスインザダークが分け合いましたが、これらは古馬ではあまり活躍できませんでした。最も活躍したのはオークス馬エアグルーヴで、天皇賞(秋)に勝ったほか、他のレースでも安定して強さを発揮しました。同馬の累積貢献率は6.9%です。
牝馬が中距離以上で牡馬を圧倒する現代からは考えられませんが、この時代中距離以上で牝馬がG1を勝つことは殆ど無かったため、特異的な存在でした。
2位はダイワテキサス(5.1%)、以下バブルガムフェロー、ゴーカイ、ローゼンガバリーとなっています。
〇1994年生まれ世代(1997年クラシック世代)
累積賞金率:113.5%
サニーブライアンやタイキシャトル、メジロドーベルの世代です。
累積賞金率1位はなんとステイゴールド(10.2%)。ここまで累積賞金率が伸びたのは海外での2勝の影響が大きいですが、国内のみに限っても累積賞金率は7.4%で世代1位を誇っています。国内G1を勝ってないにもかかわらず、ここまで伸びるのは他に例が無いです。
このほかメジロブライト(6.7%)、タイキシャトル(6.2%)、ブラックホーク(6.1%)なども他の世代であれば1位でもおかしくないぐらい稼いでいます。以下サイレンススズカ(4.2%)、メジロドーベル(4.1%)。
海外賞金を本格的に稼ぎ出したのもこの世代からで、3.7億前後の外貨を獲得しました。ダートの累積賞金率も16.4%と大きいです。あまり目立ちませんが、3歳時の古馬重賞勝利数12勝の記録も持っています。
多彩な馬がいて、かなり強い世代です。
〇1995年生まれ世代(1998年クラシック世代)
累積賞金率:110.6%
グラスワンダー、スペシャルウィーク、エルコンドルパサーの世代です。
累積賞金率1位はスペシャルウィーク(7.2%)。以下グラスワンダー(6.2%)、アメリカンボス、ウイングアロー、スエヒロオマンダー、キングヘイローの順です。エルコンドルパサーは古馬戦3勝と少なかった上、4歳時は賞金の安いフランスで走ったことから2.6%でした。
4歳時の瞬間最大風速が高かった世代で、3-4歳の賞金率57.1%はこの時点で1位でした。その後は3強の引退とともにやや伸び悩みました。とは言えかなり強い世代です。ダートや障害でも稼ぎました。
〇1996年生まれ世代(1999年クラシック世代)
累積賞金率:114.0%
テイエムオペラオー世代です。3年連続で強い世代が続きました。
そのテイエムオペラオーの累積貢献率は驚異の16.2%。オグリキャップの13%を優に超えています。以下メイショウドトウ(8.7%)、ナリタトップロード(6.1%)、トゥザヴィクトリー(5.1%)、トロットスター。
G1の勝利数は13勝と上2世代に僅かに届きませんでしたが、G2の勝利数が初めて30勝台に乗りました(35勝)。G3勝利数も当時最多の53勝に達しています。ついでにG1の2着と3着の回数も当時の最多でした。テイエムオペラオーが無双した4歳時の賞金獲得率は意外に平凡(37.6%。平均よりは2割ほど高い)ですが、5歳時6歳時の賞金率が歴代でも最上位で、高齢になっても稼ぐ馬が多い世代でした。
累積賞金率は114%で90年代1位でした。
〇1997年生まれ世代(2000年クラシック世代)
累積賞金率:89.7%
この世代は2000年ジャパンカップの下位独占が有名ですが、実はこの1週前のマイルCSではレコードでアグネスデジタルが勝っており、2着もダイタクリーヴァ、5着がエイシンプレストンと優秀なものでした。JCのイーグルカフェやシルクプリマドンナも、前走の天皇賞(秋)やエリザベス女王杯では掲示板に入っており、下位独占というのは少々巡り合わせが悪かったというのはあるかもしれません。
とはいえ結果を見れば、世代レベルはあまり高くなく、特にクラシックを走った内国産馬は低水準には違いありません。それに反して外国産馬がどんどん強くなり、賞金を稼ぎました。海外賞金でも約6億円稼いでおり、この時代にしては抜けて大きいです。
貢献度1位はタップダンスシチー(9.7%)、次いでエイシンプレストン(7.3%)、アグネスデジタル(6.6%)、イーグルカフェと外国産馬が上位を独占。5位は障害を走ったウインマーベラスでした。
世代レベルは89.7%で弱いです。
〇1998年生まれ世代(2001年クラシック世代)
累積賞金率:95.5%
貢献度はツルマルボーイ(5.4%)、ジャングルポケット(3.9%)、ビリーヴ(3.5%)、マンハッタンカフェ(3.2%)、タイムパラドックスの順です。
有力馬が故障などで伸び悩み、上位馬はあまり稼げていません。牝馬、JRAダート(地方ではタイムパラドックスが強かったが)、障害ともにそんなに強くなく、海外でも全く稼げませんでした。累積賞金率は95.5%でやや弱い方です。
マンハッタンカフェ、アグネスタキオン、アグネスゴールド、ジャングルポケット(地味にG1を勝った産駒がマンハッタンカフェやアグネスタキオンより多い)、クロフネなど種牡馬として成功する馬が多い世代でした。
〇1999年生まれ世代(2002年クラシック世代)
累積賞金率:112.1%
貢献度1位はシンボリクリスエス(7.8%)、以下ローエングリン、バランスオブゲーム、デュランダル。他に古馬では走りませんでしたがタニノギムレット、ダートではゴールドアリュール、アドマイヤドンなど。
牡馬が史上最強クラスに強い(累積貢献度103.8%)の一方で、牝馬が極度に弱い(累積貢献度8.3%。史上最低)ことが特徴です。なお、下位条件も含めたJRA獲得賞金の史上1位(719億6912万円)、古馬戦の1位(491億4738万円)を共に記録しているのもこの世代です。
〇2000年生まれ世代(2003年クラシック世代)
累積賞金率:96.3%
ネオユニヴァース、ゼンノロブロイの世代。スティルインラヴが牝馬三冠を達成しました。
貢献度1位は、2004年の秋G1を3連勝したゼンノロブロイ(9.1%)、リンカーン(4.8%)、以下アドマイヤグルーヴ、アイポッパー、シーイズトウショウの順。
障害馬スプリングゲントの活躍により、2013年(12歳)まで賞金を積み上げ続けました。
そんなに弱くはなさそうですが、古馬G1勝ちは7勝に止まっています。累積賞金率は96.3%。
〇2001年生まれ世代(2004年クラシック世代)
累積賞金率:109.9%
ダイワメジャーらの世代です。
貢献度1位はダイワメジャー(8.8%)、次いでカンパニー(8.7%)。以下デルタブルース、スイープトウショウ、エアシャディ。
カンパニーらが高齢になるまで稼いだことから、この世代は7歳以上で稼いだ累積賞金率が期間内最大になっています。特に牝馬は7歳以降稼ぐことが殆ど無くなるのですが、この世代は障害の強豪コウエイトライにより10歳まで賞金を獲得し続けました。
累積賞金率は109.9%でかなり強いです。
〇2002年生まれ世代(2005年クラシック世代)
累積賞金率:108.7%
ディープインパクトの世代です。
そのディープインパクトの累積賞金率は8.3%、2位はトウカイトリック(4.2%)、以下カネヒキリ、キングジョイ、メルシーエイタイムなど。他にも障害で活躍した馬が目立ちます。地方ではカネヒキリやヴァーミリアンが活躍しました。
意外にもディープインパクトを除いても100%を超えていることが分かります。これはダート(累積賞金率21.2%、歴代2位)と障害(累積賞金率17.0%、歴代2位)がかなり強かったおかげでしょう。JRA古馬G1勝利数は18勝で当時の最多記録。JRA重賞勝利数も地味に(現時点でも)歴代最多の102勝に達していたりします。
〇2003年生まれ世代(2006年クラシック世代)
累積賞金率:105.3%
メイショウサムソンの世代です。
貢献度1位はアドマイヤムーン(10.0%)、次いでキンシャサノキセキ(6.5%)、以下マツリダゴッホ、メイショウサムソン、マイネルキッツ。
サンデーサイレンス最終世代で、その産駒はマツリダゴッホのほかにフサイチパンドラがG1馬となりました。アクシオンは2012年ごろまで走っていたみたいです。
なお、ダートの累積賞金率が5.6%で、1990年代以降の世代では最低です。
〇2004年生まれ世代(2007年クラシック世代)
累積賞金率:99.6%
ウオッカ・ダイワスカーレットの世代。牝馬の時代の始まりです。
ウオッカ(9.2%)が貢献度1位で、以下ドリームジャーニー(6.5%)、ダイワスカーレット、スクリーンヒーロー、ジャガーメイルとなっています。
牝馬の累積貢献率は34.1%で、これまでのどの世代よりもはるかに高いです。その半面、牡馬は65.5%でかなり低い方です。古馬G1勝利数18は当時の歴代最多タイでした。
牝馬が強かったせいもありますが、この世代もダートが弱く、累積貢献率は6.0%でした。
〇2005年生まれ世代(2008年クラシック世代)
累積賞金率:70.7%
ディープスカイらの世代。
貢献度1位はアーネストリー(4.9%)、2位はオウケンブルースリ(3.0%)、以下シルポート、ディープスカイ、メイショウベルーガ。
累積賞金率が期間内最低で、1986年生まれ世代の72.9%を下回ってしまいました。性別に見ても、牡馬は1986世代に次いでワースト2位(59.9%)でした。1つ上の世代で牝馬の時代の始まりと言いましたが、牝馬も全く活躍しておらず、2001年世代に次いでワースト2位(10.8%)となっています。
古馬芝G1勝利はアーネストリーの宝塚記念、エイシンフォワードのマイルCS、リトルアマポーラのエリザベス女王杯の僅か3つでした。
あまり良い所のない世代ですが、ダートにはスマートファルコンやエスポワールシチーがおり、強いといってよいかもしれません。特にこの2頭は地方でかなり走っており、これらを含めればもう少しましになったと思います。
〇2006年生まれ世代(2009年クラシック世代)
累積賞金率:91.8%
ブエナビスタの世代。
累積賞金率はブエナビスタ(10.9%)が圧倒的で、次いでトランセンド(6.3%)、以下トーセンジョーダン(6.0%)、サンカルロ、ワンダーアキュート。
牡馬は67.1%で引き続き低水準ですが、牝馬はブエナビスタを筆頭にソコソコ稼ぎました(24.7%)。特筆すべきはダートの強さで、JRAダートの累積貢献率24.7%は期間内最大です。
(書きかけ)
2015年生まれ(2018年クラシック世代)
アーモンドアイ世代
5歳までは非常に速いペースで賞金を稼いでいましたが(3歳4歳5歳何れも賞金率で歴代2位)、6歳になってやや失速(6歳時賞金率は歴代11位)しました。
これは牝馬が殆ど引退してしまったためで、牡馬はなお高水準を保っているようです。
獲得賞金額は134億3000万円で歴代1位、累積獲得賞金率も123.6%で歴代3位です。上位との差は僅かなのでほぼ上回るでしょう。古馬G1勝利数はJRA21勝、海外6勝、地方4勝で何れも史上最多の様です。
3歳時14億2000万円(12.8%)、4歳時50億1000万円(47.3%)、5歳時48億7000万円(44.5%)、6歳時20億7000万円(18.9%)
唯一苦手としているのが障害レースで、累積賞金率が歴代最低(1.6%)と、1歳下の2016年生まれ世代(1.7%)にも負けてしまっています。国内平地と海外を合計した、平地レースの累積賞金率は歴代最高です。
追記:集計には反映していませんが、7歳になった2022年は年頭から非常に速いペースで重賞を勝ちまくっており、3月1週終了時点で5億2800万円ほど加算しています。これを考慮すると累積獲得賞金率は既に歴代トップになっているようです。
・2016年生まれ(グランアレグリア世代)
4歳時はどうなるかと思いましたが、5歳で大幅に巻き返しました。3歳時11億2000万円(10.5%)、4歳時30億9000万円(28.2%)、5歳時45億8000万円(41.8%)となっています。
牝馬が非常に強力なことが特徴で、牝馬が全賞金の51.4%(45億2000万円)を稼いでいます。アーモンドアイ世代の牝馬が45億3000万円なので、ほぼ確実に上回ると予想されます。
牡馬よりも牝馬の方が稼いでいる世代はこの世代が唯一です。
・2017年生まれ(コントレイル世代)
3歳時5億5000万円(5.1%)、4歳時33億円(30.2%)で、平均よりやや下回っています。近年の世代は5歳で稼ぐ傾向が強いのですが、この世代は主力のコントレイルが4歳で引退してしまいました。ここから挽回できるのでしょうか。
・2018年生まれ(エフフォーリア世代)
前述のとおり、3歳時の獲得賞金が15億8000万円(14.4%)で、賞金額・率共に1位となっています。重賞勝ち数も1994年生まれ世代に次いで2位です。
〇注釈
※第126回中山大障害(積雪のため2004年1月10日に順延)は2004年に計上。
※牝馬限定戦は基本的に全て芝だが、2018年のJCBレディースクラシックのみダート。これら牝馬限定戦は芝やダートの方には計上していない。
※海外レースの賞金は為替レートなどの要因により誤差が大きい。加えて賞金の安いレースの4着5着などは無視しているところがある。
〇以下未整理の雑多なデータ
古馬重賞に占める各カテゴリーの割合(JRAのみ。賞金ベース)